DNAの高度機能性素材としての利用

1995 年度 実績報告書

• 研究課題/領域番号: 07555600
• 研究種目: 試験研究(B)
• 研究機関: 北海道大学
• 研究代表者: 西 則雄 北海道大学, 大学院・地球環境科学研究科, 教授 (70001857)
• 研究分担者: 長田 篤雄 (株)ヤマサ, 診断薬部・免疫研究室, 室長 ; 平 敏夫 (株)サンギ, 生化学研究所, 主任研究員 ; 西村 紳一郎 北海道大学, 大学院・理学研究科, 教授 (00183898) ; 久保木 芳徳 北海道大学, 歯学部, 教授 (00014001) ; 戸倉 清一 北海道大学, 大学院・地球環境科学研究科, 教授 (40000806)
• キーワード: DNA / 高度機能性素材 / 細胞増殖抑制 / 抗DNA抗体 / 発癌性物質 / 魚類白子 / DNA-アルギン酸複合体 / ベンツピレン

研究概要

本研究はDNAを高度機能性素材として、たとえば細胞増殖抑制用バイオマトリックス、抗DNA抗体検出用素材、発癌性物質検出用フィルター等の各種生医学材料、抗ウイルス性物質徐放性材料、さらに高選択性クロマトグラフィーの担体等として利用の道を探り実用化することを目的とする。
本年度の研究実績
昨年までの研究の結果、天然多糖であるアルギン酸とのコンプレックスにする方法によりDNAをその天然構造を保ったまま効率的に不溶化する方法を見いだした。この方法を用いて次の研究を行った。研究に用いるDNAは魚類白子よりの効率的な調製法を開発しつつ、各グループに供給された(三上)。
1)不溶化DNA-アルギン酸複合体の細胞培養用バイオマトリックスとしての利用(平、久保木、西)
DNAマトリックスの細胞増殖に及ぼす影響を細胞培養系により検討すると共に、細胞増殖をコントロールする機能性素材につき研究を進めた。
2)抗DNA抗体検出法の開発と診断薬への利用(長田、西)
酸性多糖であるアルギン酸を用いて従来の塩基性ペプチドとは異なるDNAの固定化を行い、これを固相とした抗DNA抗体検出のためのELISA法を開発した。
3)発癌性物質検出用フィルターおよび樹脂の作製(戸倉、西村、西)
DNA-アルギン酸をミリポア-フィルター上にコーティングし、ベンツピレン等のDNA結合性発癌物質をこのフィルター上に集め、極めて微量でも検出できる微量発癌性物質検出システムを開発した。

研究成果

• [文献書誌] N.Nishi,他6名: "Structure and Functional Role of Unique Tandem Repeat Sequence in RNA Polymerase II" Peptide Chem.,1994. 1994. 93-96 (1995)
• [文献書誌] H.Kaneko,N.Nishi,他7名: "Stabilization of Photo-induced Radicals in Hematoporphyrin-Xl-Doped Chitosan Film" Polym.Int.36. 365-372 (1995)
• [文献書誌] N.Nishi,他5名: "Synthesis and Conformational Investigation of Tandem Repeat Sequence in RNA Polymerase II" Biochem.Biophys.Res.Comm.206. 981-987 (1995)
• [文献書誌] N.Nishi,他5名: "Suppression of Cell-proliferation by DNA-Alginic Acid Complex" Glycoconjugate J.12. 516 (1995)
• [文献書誌] T.Furuike,N.Nishi,他2名: "Synthetic Glycoconjugate.b.Preparation and Biochemical Evaluation of Novel Cluster-Type Glycopolymers" Macromolecules. 28. 7241-7247 (1995)
• [文献書誌] K.Iwata,N.Nishi,他3名: "Utilization of DNA as Functional Materials:Preparation of Filters containing DNA insolubilized with Alginic Acid Gel" Int.J.Biol.Macromol.(印刷中). (1996)
• [文献書誌] 西 則雄,戸倉清一,他: "キチン・キトサンハンドブック" キチン・キトサン研究会編,技報堂出版, 553 (1995)