研究課題/領域番号 |
07555603
|
研究機関 | 福井大学 |
研究代表者 |
瀬 和則 福井大学, 工学部, 助教授 (00154633)
|
研究分担者 |
三谷 徹男 三菱電機(株), 材料デバイス研究所, 課長(研究職)
馬場 文明 三菱電機(株), 材料デバイス研究所, 部長(研究職)
佐々木 隆 福井大学, 工学部, 助手 (50242582)
高橋 利禎 福井大学, 工学部, 教授 (30020184)
|
キーワード | 光応答性高分子 / メカノオプティカル材料 / 光記憶材料 / アゾベンゼン / 光異性化反応 / ポリアミノスチレン / 四級化反応 / ブロック共重合体 |
研究概要 |
本年度はポリステレン-ポリアミノスチレンブロック共重合体と塩素化アゾベンゼンとの四級化反応により、光応答性架橋膜を作製し、その膜特性を評価した。得られた膜の光記憶素子機能を測定して、メカノオプティカルの応用と制御に関する研究も行い、当初の研究目的を達成した。具体的研究実績は以下の通りである。 1.四級化反応の精密制御:ポリスチレン-ポリアミノスチレンのブロック共重合体膜にp,p-ビス(クロロカルボニル)アゾベンゼンを分子間架橋させた場合の四級化反応性を、反応物の仕込み比や温度を系統的に変えることにより精密に制御する条件を見い出し、新規な光応答性架橋膜を作製した。 2.光応答性架橋膜の膜特性:アゾベンゼン架橋膜の熱測定や膨潤度試験を行い、膜中の光応答性基の濃度を厳密に求めた。ブロック共重合体のミクロ相分離構造とアゾベンゼン基の架橋構造を理論的に検討した。 3.光記憶素子の性能評価:光応答性架橋膜を60℃(巨視的メカノオプティカル領域)に保ち、紫外光照射下でのアゾベンゼンのトランス体に由来する吸光度の照射時間依存性より、光記憶の書き込み評価を行った。次に、試料を30℃(微視的メカノオプティカル領域)に下げ、可視光照射下での光記憶の保持評価を行なた。最後に、試料を再び60℃に保ち、可視光照射下での光記憶の消去評価を行い、実用化を検討した。 4.メカノオプティカルの性能評価:上記の膜を60℃以上(非線形的メカノオプティカル領域)に保ち、紫外光照射下でのアゾベンゼンのトランス体に由来する吸光度が、初期値以上に増加した温度範囲や照射時間を見い出し、メカノオプティカル挙動に関する基礎データを系統的に得た。その結果を非線形緩和関数の一つであるKWW理論により解析して、メカノオプティカルの応用と実用化に関する有益な成果を得た。
|