研究課題/領域番号 |
07555604
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研究種目 |
試験研究(B)
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
綱島 良祐 京都大学, 化学研究所, 助教授 (30089130)
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研究分担者 |
長村 俊彦 (株)ユニソク, 科学機器開発研究所, 所長
平井 諒子 京都大学, 化学研究所, 教務職員 (20156623)
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キーワード | PS-PMMAジブロック共重合体 / 選択溶媒 / 相分離構造 / ミセル構造 / ミセル内部運動 / 自己集合体 / 核-殻構造 |
研究概要 |
1.ブロック共重合体溶液系において発現する相分離構造・相転移は広範な分子運動が積み重なり、時間発展することで形成されると考えられる。これらの運動の緩和時間は10ナノ秒〜10^3秒程度の時間領域をもつので、これらを一挙に観測できる時間分割光散乱高速測定システムを組み上げた。このとき、セル室、セル室の温度コントロール、光散乱データの取り込み、データ解析処理システムなどについて新たな設計と改良を行った。 2.ブロック共重合体溶液系としてスチレン(PS)-メタクルル酸メチル(PMMA)ジブロック共重合体/ベンゼン(BZ)-p-シメン(CYM)混合選択溶媒系を選び、混合比を変えて、発生する相分離構造、特にミセル形態、のダイナミクスを調べた。まず、既存の動的光散乱測定システムと新規システムとの整合性を確認するため、測定温度を30℃に固定して時間分割光散乱測定を行った。両者から得られた結果は測定精度内でよく一致した。 3.PS-PMMAジブロック共重合体試料の分子量を通常用いられているそれより1桁大きな1.53×10^6とすることにより、従来の観測では見い出し得なかったミセル内部の分子運動、ミセル内構造、単一分子鎖(ユニマ-)のミセルへの転移挙動に関する知見を得ることができた。すなわち、本ジブロック体は、(1)60wt%CYM溶媒中では、ユニマ-とその自己集合体であるミセルとが7対3で平衡共存する、(2)ミセルは核-殻構造をとるが、その内部密度は激しく揺らぎ、安定した同心二重型の核-殻構造をとらない、(3)一方、70wt%CYM溶媒中では、会合数23の大型ミセルのみが存在し、殻形成層であるPSは伸び切った鎖形態をとる。このため、ミセル内部運動は60wt%CYMの場合ほど激しくない、などが判明した。 4.今後、上記の系に温度ジャンプを与え、これら構造の乱れ、あるいは別構造の発生を時間追跡する。
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