研究概要 |
本年度は3年計画の研究の最終年度として,平成7,8年度に得られた基礎データをもとに,コンクリート構造物ならび鋼板に対する非破壊検査への応用を行なった. 1.コンクリート構造物における表面ひび割れの定量的非破壊評価法の開発.き裂先端を回り込んで伝播する回折縦波の位相が回折角度に応じて変化することを利用して,き裂の深さと角度を同時に同定する手法を提案した.境界要素法を用いた数値解析によって,回折波の位相変化のシミュレーションを行うとともに,コンクリート供試体を用いた実験によって本手法の適用性を確認した.本手法の解析精度を挙げるためにはコンクリート面との密着性がよく,かつ,操作性のよい探触子の開発が望まれるところであるが,これについては今後の検討課題として残された. 2.オンライン板波探傷法の高度化技術の開発.オンライン板波探傷信号をデジタル化し,探傷信号の特徴を利用した信号処理を行った.具体的には,信号処理ボードの並列駆動及びデータ圧縮によって,全面探傷技術可能な装置を開発し,板波探傷信号を2次元的に蓄積して欠陥の特徴量を抽出する信号処理ロジックを構築した.これにより,鋼板エッジ部における未探傷領域の縮小が可能になり,さらに,小面積除去ロジックを使った電気ノイズの除去ときず誤検知率の低下を行うことができた.
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