研究課題/領域番号 |
07555640
|
研究機関 | 日本大学 |
研究代表者 |
徳江 俊秀 日本大学, 理工学部, 教授 (10139090)
|
研究分担者 |
橋本 正夫 東京試機工業(株), 代表取締役(技術・研)
前野 賀彦 日本大学, 短期大学部, 教授 (90110139)
釜井 俊孝 日本大学, 理工学部, 講師 (10277379)
|
キーワード | 斜面安定 / 地滑り / 安定解析 / 進行性破壊 / 破壊伝播 / せん断強さ / 残留強さ / 変形 |
研究概要 |
本研究の検討課題は、以下の通りである。I.不均一条件下の複数土要素の複合強度特性の解明、II.破壊伝播形態に応じた破壊伝播則(すべり線の発達・停止条件)の解明、III.上記I、IIの概念の地滑り、海底地滑りへの適用性に関する研究。さらにI、II、IIIの結果を総合して、従来の方法に代わる新たな斜面設計法を提案すること。本年度のこれまでに得られた主な知見は以下の通りである。1.既に、昨年までに、地盤の破壊伝播形態として、外力条件による強制破壊伝播と自励破壊伝播、歪みエネルギー条件による歪みエネルギー蓄積破壊伝播と同解放破壊伝播が存在すること、斜面破壊は歪みエネルギー解放破壊伝播に密接に関連し、そこではすべり線先端部の局所的拘束応力が次々と減少するため破壊も容易に伝播して非常に危険であることを報告した。昨年、この拘束応力低下を一応実験的に確認したがやや不備な点もあったこと、この拘束応力低下は新たな斜面設計法を構築する上で最重要事項の一つであることなどに鑑み、本年、昨年とは異なった実験、すなわち模型斜面傾斜破壊実験を実施して、再度確認することにした。その結果、歪みエネルギー解放破壊伝播では、確実に拘束応力が減少することが確認された。2.不均一応力条件下では、土要素間の相互佐用が不可避となるので、その影響を捉えるために五連単純せん断試験を実施している。その結果、新たに、土は、不均一応力場を強いられる状況下では、要素間の相互佐用により、純粋せん断状態を形成し、更に圧縮応力も等方状態となって、せん断に対して最も有効に抵抗しようとする"自己調整能力"を示すこと、また、全体破壊は、せん断中に潜在滑り線に交差する方向に先ず多数のミクロな滑り線(Riedel Shear)が入り、次いでこのミクロな滑り線を連結する形で主要な滑り線が進展するという二段階を経て発生することが判明した。
|