研究概要 |
本年度は次の項目について研究を行った.(1)わんど形成の有力な方法と考えられる水制の周辺の流れ構造および河床変動特性についての基礎的な研究,(2)わんどによって形成が期待される河道内樹木群の流れに及ぼす影響,(3)局所的樹木群が洪水流の非定常性に及ぼす影響である.(1)については,非越流型および越流型水制において3種の透過度の異なる水制の実験を行った.透過度の違いにより水制背後のはく離流の構造に違いがみられ,透過度が小さい場合は再循環流が形成されるが,水制背後に下から回り込む流れがしだいに発達して縦渦を形成した.この縦渦は水制背後の流速の回復を促進していることがわかった.透過度が大きい場合は循環流は形成されず,また縦渦も形成されない.したがって,水制を透過した減速流はなかなか回復せずかなり下流まで減速効果が維持された.越流型水制では水制上部の流れが加速され水制背後の循環流域が縮小する点が異なったが,非越流型と同様な縦渦の形成が認められた.河床変動は水制先端付近が洗掘され,この土砂が下流に流れと平行な峰状に堆積する.透過型では若干洗掘深が小さくなった.(2)については,比較的短い区間に樹木群がある場合でも水位変動に与える影響は大きいことがわかった.また,樹木群からの流出が低水路の2次流を発達させ,流量分配の増加による低水路流速の加速と,低水路上部の流れの樹木群の低速流との運動量交換から低水路底面近傍が特に加速され,樹木群隣接領域の掃流力の増大を招くことがわかった.水位および流速の横断分布は2次流および樹木群抵抗を考慮した2次元平面流計算によってある程度予測可能となった.(3)非定常流では局所的な樹木群区間の前後では樹木群抵抗による上流域の貯留現象と樹木群区間における加速現象のため,増水期と減水期とで水面形が大きく異なり水面勾配が局所的に大きく変化した.
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