研究課題/領域番号 |
07555642
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研究種目 |
試験研究(B)
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研究機関 | 東京工業大学 |
研究代表者 |
灘岡 和夫 東京工業大学, 大学院・情報理工学研究科, 教授 (70164481)
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研究分担者 |
小林 享 運輸省港湾技術研究所, 計画設計基準部, 主任研究官
二瓶 泰雄 東京工業大学, 大学院・情報理工学研究科, 助手 (60262268)
日向 博文 東京工業大学, 工学部, 教務職員 (70272680)
八木 宏 東京工業大学, 工学部, 講師 (80201820)
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キーワード | 海岸空間 / 統合型環境空間シミュレータ / 生態・水質環境 / 赤潮 / 成層構造 / 鉛直一次元モデル / 土壌環境 / 大気環境 |
研究概要 |
海岸空間を対象とした、多面的な空間認識に基づくトータル空間デザイン論の確立と、その支援システムとしての、統合型環境空間シミュレータの開発を目指して、本年度はまず、海岸空間認識に関しての未解明の重要テーマである、生態・水質環境や海岸植生環境に関して現地観測ならびに数値解析を行い、それらの特性を明らかにすることを試みた。 具体的には、前者に関しては、東京湾に面する稲毛人工海浜において夏季の約1ヶ月間、水温やDO、クロロフィルaといった水質特性量を、流速や水位変動といった海況データとともに詳細に測定した。その結果、平常時においては、日射に大きく支配された形で、水質特性量が共に大きく日周変動し、しかもクロロフィルa量のレベルが外洋に面した海岸に比べてかなり高く、ほぼ赤潮状態に近い値になっていることがわかった。さらに水温構造に着目して詳細な検討を行ったところ、1)水深3m前後のごく浅い水域においても明瞭な成層構造が形成され、風速が5m/s程度以上になるとそれが崩壊すること、2)このような水温構造は、鉛直一次元的な解析によってその基本特性をほぼ再現することができるが、潮汐振幅が大きい場合には、内部躍層の動きによって冷水塊が低層部に沖より浸入する形になること、3)上記の鉛直一次元モデルによって、外洋に面した海岸でのクロロフィルa量を想定した計算結果と比較したところ、水温の日周変動振幅がはるかに小さくなることが示され、このことから逆に、水温等に関する物理モデルに、今後クロロフィルa等を対象とした生態モデルをカプリングさせていくことが重要、などが明らかとなった。 後者の海岸植生環境に関しては、茨城県の波崎海岸において、植生を取り巻く土壌環境(地下水、塩分など)と大気環境(飛塩、風速など)を数回にわたって計測し、その基本特性を明らかにすることができた。
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