研究概要 |
本研究は、筆者らが提案している知的ファジィ最適アクティブ制御システムを、実験システムに導入し、居住性,安全性,経済性等の建築構造物が有する特性を考慮した最適化を可能とし、地震動入力予測,構造物の同定をリアルタイムに行う知的アクティブ制御実験システム構築を目的とする。ここで用いる知的ファジィ最適アクティブ制御法は、1)制御に関する目的関数と制約条件は、ファジィ集合の帰属度関数で表現される、2)地震動入力予測と構造同定(構造同定)をリアルタイムに行なう。3)ファジィ最大化決定により最適制御変数を決定する、等の特徴を有する。供試体は、1質点系構造物とし、入力低減方式により制御力を構造物に導入する。制御力はAMD方式で導入し、AMDはDCサーボモーターで駆動される。 実験システムは、3台のパーソナルコンピュータを同期させ、相互に連携させたもので、1)振動台の駆動と供体応答の観測,2)最適制御変数の決定、3)AMDの駆動をそれぞれ分担して行う。これら3台のコンピュータは、第一コンピュータのAD変換に用いるタイマーに同期して駆動される。 この実験システムを用いた知的ファジィ最適制御実験を行った。実験は、入力波とその振幅,応答変位と制御力に対して設定する帰属度関数を変化させて実施した。その結果、入力波が定常的な場合では制御効果が見られるが、入力される波がランダムになるにつれて制御が不安定になる傾向が見られた。一方、シミュレーション結果では、設定した帰属度関数に応じた制御結果が得られている。以上の結果より、本研究で提案している知的ファジィ最適アクティブ制御実験システムの構築に関する基礎的な知見が得られた。本研究で構築した制御実験システムでは、その設定で、いくつかの問題点も明らかとなり、今後さらに改良を行っていくことにより、より有効な制御実験システムが構築できるものと考える。
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