研究分担者 |
坂井 精一 (株)東京測器研究所, 福岡出張所, 所長
椎名 政三 (株)東京測器研究所, 桐生工場・研究課, 課長
竹田 吉紹 西日本工業大学, 工学部, 助教授 (70125160)
清原 千鶴 大分大学, 工学部, 助手 (00284787)
|
研究概要 |
本研究は、比較的小さな断面を持つコンクリート、モルタルやセメントペースト試験体に埋め込み可能で、かつ、長期間にわたって信頼性の高いデータを測定できる小型埋め込みケージの開発を目的としている。従来、コンクリートのひずみの測定には表面接着型ゲージが多用されているが、接着表面が濡れている場合(湿気を含んでいる)は接着剤が硬化不良をおこし、ひずみ測定値に影響が顕れることが指摘されている。そこで、本研究では、小型埋め込みゲージの材質、形状を検討し、材質としては、機械的、化学的性質の優れたスーパーエンジニアリングプラスチック系のPPS(ポリフェニレンサルファイド)を選定し、形状は直径4mm(つば部分直径8mm)、長さ30mmとして、半割状態で制作した中に長さ6mmの箔ゲージを接着剤を用いて埋設し、小型埋め込みケージを試作した。試作ゲージの評価実験として、1)静的強度試験、2)乾燥収縮およびクリープ試験を実施した。静的強度試験では試作ゲージのひずみ感度を検定することも含まれているが、W/C=30,40%のセメントペースト試験体を用いて、材齢1, 3, 7, 14, 28, 56日で圧縮、および直接引張り試験行った。表面接着型ゲージ(圧縮試験ではコンプレッソメータも使用)で測定も行ったが、両者による「応力-ひずみ」曲線はほぼ同様な傾向を示すことがわかった。試作ゲージの長期間の安定性を確かめるために、同一調合のセメントペースト試験体を用いて乾燥収縮およびクリープ試験を実施した。比較のために表面接着型ゲージを用いたが、乾燥収縮、クリープ試験ともに、期間が長くなり、ひずみの値が大きくなるにつれて、表面接着型ゲージによるひずみ測定値には接着剤の剥離によると思われる不安定な現象がみられるようになった。これに対して、試作ゲージの方は長期間にわたって安定したひずみを測定できることがわかった。以上のことより、本研究で開発したコンクリート用小型埋め込みゲージの実用性が確認できた。
|