研究概要 |
高温構造材料には、高い性能の信頼性が要求される。しかし、その性能を高い精度で推定できる手法は十分には確立されていない.本研究では,高温クリープデータの定式化および外挿に関する問題点を解決し,高温材料設計・評価システムへ発展させることを目的として研究を行い,次の成果を得た. 1.設計・評価システム概念の構築(構成式の開発):次のクリープ構成式に基づいて,クリープ曲線データの解析を行い,その解析結果と組織変化の観察結果との対応を調べた. ε=A{1-exp(-αt)}+B{exp(αt)-1} ε:ひずみ,t:時間 (1) そして,この式の材料定数A,B,αが組織変化を合理的に定量化できることを明らかにした.ただし,クリープ曲線全体を正確に定式化するには,(1)式を次のように改良すべきことも分かった. ε=C{1-exp(-γt)}+A{1-exp(-αt)}+B{exp(αt)-1}+D{exp(δt)-1} (2) 2.長時間挙動評価の実証実験:これまでに得られている10年以上の長時間クリープデータに基づいて,短時間データから10年以上の挙動が正しく評価できるか否かの検証を実施した.その成果として,多くの材料の長時間強度が互いに近い値を取るという基底強度の概念を提案した. 3.データベース利用システムの整備:現有のオブジェクト指向の材料データベース利用ソフトウェアを,クリープデータ解析に利用できるように改良した.
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