研究分担者 |
鈴木 真由美 東北大学, 大学院・工学研究科, 助手 (20292245)
小野 陽 東北大学, 大学院・工学研究科, 助教授 (40111249)
増山 不二光 三菱重工業(株), 長崎研究所, 主査(研究職)
八木 晃一 科学技術庁金属材料技術研究所, 環境性能研究部, 部長(研究職)
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研究概要 |
高温構造材料には,高い性能の信頼性が要求される.しかし,その性能を高い精度で推定できる手法は十分には確立されていない.本研究では,高温クリープデータの定式化および外挿に関する問題点を解決し,高温材料設計・評価システムへ発展させることを目的として研究を行い,次の成果を得た. 1. Ω法のMod.9Cr-1Mo鋼への適用: Ω法では,次式に基づいてクリープ曲線(ひずみ-時間)データを定式化する. ε=-(1/Ω)ln(1-ε_0Ωt) ε=ひずみ, t=時間 (1) ここで,Ωとε_0は材料定数である.この式を用いると,Ωとε_0に基づいて、次式から破断時間t_γを容易に評価できる. t_γ=1/Ωε_0 (2) この方法に基づく破断時間評価手法をMod.9Cr-1Mo鋼に適用し,±1.5倍の精度で破断時間を推定できることを示した. 2. マルテンサイト鋼の組織変化と寿命消費の相関: クリープ挙動は材料の組織と密接な関係があり,この組織変化がクリープ曲線を決める.クリープ構成式によるクリープデータ解析を正しく行い,そしてその成果を材料設計に展開するには,材料内部での組織変化を理解し,それをクリープ構成式に反映させる必要がある.マルテンサイト組織のMod.9Cr-1Mo鋼とTAF650鋼を用いて,破壊に至る各段階での組織変化を詳細に検討した.その結果次のことが明らかになった.(1)マルテンサイト組織の回復(ラス幅の増大)が,3次クリープでの変形加速の主原因であり,ラス組織の変化が材料弱化プロセスを支配する.(2)ラス幅の変化率とひずみの間には,試験温度・応力によらない一義的な関係がある.(3)Wを添加するとラス組織の回復が抑制される.これがW添加によるクリープ強度上昇の主原因である.
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