| 研究概要 |
Bの添加により常温延性が大幅に改善されたにもかかわらず、Ni_3Al+Bが実用化されない最大の原因は、Ni基超合金に比べてその降伏強度が低いことにある。Ni_3Al+Bの降伏強度の増大を目的として多様な方法が試みられているが最も基本的な方法である固溶強化はほとんど研究されていない。Ni_3Alには多くの元素がNi、Alの何れかと優先的に、あるいは両者と置換型に固溶し、固溶強化されることが良く知られている。しかし高強度のNi_3Al+MがBの添加により延性化するか否かは、実用上、極めて重要な事柄であるにも関わらず、現在のところ不明である。本研究はM+Bの複合添加により、強度と延性を備えたNi_3Al合金を作り出し、高温構造材料としての実用化を目指すことを目的とした。前年度の研究成果に基づき、化学量論組成からの偏倚や、合金元素の添加量などを十分に考慮して、置換型第三元素MとBを複合添加したNi_3Al合金をアーク溶解により作製した。熱処理後、インストロン試験機を用いて引張り試験を行い、機械的性質を測定・評価した。Ni_3Al+Bの降伏強度はHf,Nb,W,Ta,Pd,Siの添加により増大する。破壊強度はPd,Ga,Si,Hfの添加により増大する。そして、延性はGa,Fe,Pdの添加により増大する。Hfは降伏強度と破壊強度をともに増大させるが、延性の低下を招く。これに対して、Pdはすべての機械的性質、すなわち降伏強度、破壊強度および延性を増大させる最良の元素であることが明らかになった。
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