研究概要 |
金属材料に準静水圧下で強ひずみを課すことにより結晶粒径をサブミクロンレベルにできることが知られている。本研究では,このような強ひずみ加工法で結晶粒径の微細化を試みた。得られた成果を以下に要約する。 1.Equal Channel Angular Pressing(ECAP)法と呼ばれ,準静水圧下で強ひずみを課すことのできるダイを製作した。管の出口断面をわずかに小さく絞り,試料の一部が継ぎ目等に流れ込まないように緊密に設計することが,同一試料を繰り返し加工して強ひずみ加えるために重要であった。 2.製作したダイを使いAl-3%Mg合金では400%以上の,また純Alでは1000%以上の強ひずみを課すことができた。 ダイ中の管に通す試料の向きを変えることにより製造組織の制御を行った。試料の向きを変えない場合,3サイクルまでは特定方向に伸びた微細結晶粒組織が得られ,各サイクル毎に180度向きを変えた場合,2サイクルからほぼ等軸の微細結晶粒組織が得られた。 4.硬度測定の結果,最初の1サイクルで硬度が急激に増加し,4サイクルで最大に達した後,さらにサイクルを重ねるとともにわずかに減少した。このような硬度変化に対応して、4サイクルで結晶粒径が最も小さく,サイクルとともにわずかに増加し,結晶粒界の形状は明瞭で直線的となった。これは,加工中の温度上昇で回復が進行したものと考えられた。
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