研究課題
本研究は、炭素繊維、ガラス繊維などによる先進複合材料の加工技術を活用しつつ、天然に見られる竹の特性に学んだ構造を成形すると共に、これを用いた構造設計システムの検討を行った。平成9年度は、平成8年度までの試作評価に引き続き、次の2つの項目の研究を行った。(1)補強節を有するCFRPパイプのFW成形による試作と曲げ性能評価(2)熱可塑性樹脂マトリックスのFW成形によるパイプの試作その結果、(1)については、補強節を有するCFRPパイプについて、補強節間隔とFW成形の繊維配向角とを変化させた条件で試作し、4点曲げ試験により曲げ剛性、曲げ強度の評価を行った。その結果、補強節により、パイプの断面変形が抑えられて、曲げ負荷に対し、剛性、強度共に大きく向上することが実験的に確かめられた。さらに、エネルギー論の応用により、補強が無い場合のパイプの断面変形についての理論的解析を行い、実験とよく合うことを確認した。本研究は平成9年度で終了となるが、今後更に、多くの試作パラメータを変形させて試作評価データを蓄積し、より完備した補強節付きパイプ材あるいは殻材の設計システムの構築へと進むこととしたい。(2)については、熱可塑性樹脂マトリックスのFW成形の諸装置が、平成7年度末に購入され、平成8年度に作動調整が行われたが、平成9年度にFW成形運転が開始された。FW成形は、熱可塑性樹脂PEEKをマトリックスとする炭素繊維の幅10mmの帯を、600〜900℃の高温ガスを使って軟化させてマンドレルに巻き付けた後、直ちに冷却して硬化させることにより、進められた。高温ガスにより、樹脂の分解がいくらか起こって、ガスが発生するけれども、熱可塑性樹脂マトリックスの炭素繊維パイプの成形が達成できることが確認された。今後、ガス発生を防止または除害する対策を確立すれば、工業的技術として発展できると考えられる。
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