研究概要 |
1.3種類の腐食灰(Na_2SO_4-K_2SO_4-ZnSO_4,NaCl-KCl-LiCl-CaCl_2,NaCl-KCl-Na_2SO_4-K_2SO_4-ZnSO_4)中に31種類のNi基合金を埋没し,450,500,600℃の各温度で,交流インピーダンス法により腐食速度のモニタリングを行い,各合金の耐食性を評価し,各腐食灰中での耐食性と合金元素の関係を明らかにした.日本金属学会誌(1996)で公表. 2.溶融塩(NaCl-KCl-Na_2SO_4-K_2SO_4-ZnSO_4)とアルミナ粒子(φ60μ)を混合した模擬腐食灰中にSUS304ステンレス鋼を埋没して,交流インピーダンス法により腐食速度をモニタリングし,アルミナ粒子の含有量が約70%のときに腐食速度が最大になることを示し,その腐食機構を明らかにした.平成8年度日本金属学会秋期大会にて発表. 3.ごみ焼却炉のボイラー管に付着した実機腐食灰中にSUS304ステンレス鋼を埋没し,交流インピーダンス法により実験室内での腐食のモニタリングを試みた.モニタリング周波数は高周波数(10kHz)と低周波数(10mHz)の2点周波数で行い,高周波数から溶液抵抗,すなわち腐食灰中の溶融成分の有無を判別でき,低周波数から腐食速度を推定できることを明らかにした.モニタリングは500〜800℃の範囲で行い、温度が500℃から600℃に上昇するとき灰が溶融すること,腐食速度もこれにともなって急激に増加することがわかった. 4.平成8年11月から現在まで,江東区清掃工場内のごみ焼却炉中に種々の形状の腐食モニタリング用プローブを設置し,モニタリングを実施している.最も安定に測定できるプローブ形状がほぼ明らかになり,交流インピーダンス法により実焼却炉内での腐食モニタリングの可能性を示すことができたので,本研究の当初の目的は達成できたと言える. 上記の3,4の成果は平成9年度腐食防食協会春期大会で報告する予定である.
|