研究概要 |
1.目的 カルシウムを還元剤として用い,ZrO_2+2Ni+2MnO_2+6Ca=Zr(Ni,Mn)_2+6CaOなる反応に基づいて酸化物原料から水素吸蔵合金粉末を直接的に製造する金属熱還元法(還元拡散法)を開発する。 2.Zr-Ni-Mn3元系合金の最適組成の検索 アーク炉により溶製した各種Zr-Ni-Mn3元系合金の組成および組織と水素吸蔵特性との関係を系統的に調べ,合金組織としては副相を無くして単相化を図ることが必要とされること,副相が丁度消える境界上の組成を有する合金ZrNi_<1.1>Mn_<1.1>ないしはZrNi_<1.2>Mn_<0.8>が水素吸蔵合金として最も優れた特性を有することなどが明らかにされた。 3.金属熱還元法による合金製造 ZrNi_<1.2>Mn_<0.8>合金粒子の生成機構について調べた結果,合金粒子の生成が,固相Ni中へのZrやMnの反応拡散によるものではなく,Ca融体中へのNiの溶解反応と溶融Ni-Ca合金中のNiと固相Zr,Mnとの不均一系反応によるものであることが明らかにされた。また,金属熱還元法により作成された合金粒子の水素吸蔵量は,アーク炉溶製法により作成されたものよりはかなり少なく,水素透過を困難にしている合金表面上酸化膜の除去が水素吸蔵特性を向上させる上で必須の課題であることが分かった。
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