研究概要 |
透明でかつ高い電気伝導度を示す酸化物は、ITO(In_2O_3:Sn)やAZO(ZnO:Al)などが知られているが、本研究では、これらよりも短波長域まで透明でかつ高い伝導性を有する新物質を探索し、その薄膜化を行い電子ビームソリグラフィへの適用性を検討することを目的とする。本年度(初年度)の研究成果を以下に要約する。 (1)予備実験で有望であろうことが期待されていたβ-Ga_2O_3(バンドキャップ〜5eV)とZnGa_2O_4(バンドキャップ〜5eV)の2つの物質について物性の固有値を見極めるため単結晶の育成を行い、前者についてはフローティングゾーン法、後者についてはPbO-PbF_2系のフラックス法でそれぞれ5mm角サイズの育成に成功した。またβ-Ga_2O_3については結晶育成中の雰囲気制御で、ZnGa_2O_4では700℃、48時間のH_2雰囲気中で加熱することにより、電子キャリアを導入できることを見出した。 (2)新物質探索の過程で得られる2CdO・GeO_2と2CbO・PbO_4結晶をAr-O_2ガス雰囲下で高周波スパッターして得られる薄膜を合成したところ、透明であるが電気伝導性は示さずアモルファス状態であった。しかし、これにLi^+またはH^+をイオン注入することにより、透明性を損なうことなく電気伝導度が約10桁増大し〜10^2S・cm^<-1>となることを見出した。これにより透明で高い伝導性を示すアモルファス酸化物が実現したことになる。 (1)(2)の成果を踏まえ,次年度β-Ga_2O_3,ZnGa_2O_4の薄膜化とその光,電気物性をアモルファス透明伝導膜についてはエキシマーレーザ光および電子ビーム照射による光,電気物性の変化を検討する予定。
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