本研究では、以前に製作した光加熱TMDSCの第一号装置の経験を生かし、より優れた性能を有する第二号装置を開発した。第二号装置の最大の特徴は、変調用の光加熱システムをDSC本体に固定せず、光源部分をDSC本体と切り離し、両者を光ファイバーで結ぶ構造としたことである。これによるメリットは非常に大きい。第一に光入射条件を一定に保つことが容易且つ正確にできるようになった。第二に炉体上部が試料交換時に完全にオープンになるため、操作がしやすく、正確な試料の位置決めが可能になった。第三に測定試料側と参照試料側の加熱条件を、独立に制御できるようになった。これにより、新しい方法による測定ができることになる。第四に炉体への入射部のみを適合させることにより、どのメーカーの装置にも取り付け可能な製品を開発することができる。第二号装置の特徴として、測定信号をできるだけ良好な状態で取り出すように、装置内部の回路にまで改良を加えたことも重要である。TMDSCでは変調信号の位相までを考慮に入れた解析が行われるため、測定信号の良否はDSCの場合以上に結果に大きな影響を与える。このようなTMDSCに適したハードウェアの開発が、今後市販装置にも求められることになると考えられる。アルミニウムパンを試料とした測定テスト行い、光源分離型の加熱、信号取り出し回路ともに、良好に動作し、第一号装置を上回る結果を得ることができた。データ収集・解析ソフトウェアは、テスト段階に止まり、完成には至らなかったが、データ収集システムが支障なく働くことは、確認できた。
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