本研究ではラムアクセラレータの設計製作上必要な燃焼機構に関する情報を得る目的で小型の試験装置を製作し、発射体の挙動を調べることすることにより燃焼過程を明かにすることを目的とした。初年度では装置の設計を行い、装置を製作した。2年目では、装置の性能と特性を圧力変換器によって調べた。本研究で製作したラムアクセラレータ試験装置は、大別して発射体を発射する発射管と発射された発射体を燃焼によって加速する加速管に分けられ、爆轟駆動型の発射装置を用いている。この爆轟自体の特性を試験するために爆轟背後の高温高圧気体によって形成される衝撃波の特性について実験と数値シミュレーションを行った。また、高速開閉弁を用いた高圧ガスによる射出装置も製作しこの特性についても実験を行った。並行して、発射体周り気体の燃焼過程を数値的にシミュレートした。プログラムはSemi-Implicit TVD法に基づき、反応は2段階可逆反応モデルを使用した。この結果、熱的閉塞状態の燃焼過程を定性的に表わすことに成功した。最終年度では、高圧ガスによって自由ピストンを駆動し断熱圧縮による高圧で8.8gの発射体を加速し、最大590m/sの速度を得た。この速度では、可燃性気体を着火・燃焼させるに十分と言えないが発射装置としては短い長さで効率的加速が得られた。従って、試験装置としては当初の目的に達したと考える。また、さらなる加速を得る装置を設計するための数値解析として、爆轟速度付近の速度での発射体周りの反応性流れについて解析し、特に詳細反応機構を考慮した計算を行い、効率的な加速条件を見いだした。また、爆轟波(デトネーション)と発射体の干渉過程を調べる基礎的実験や数値解析を行った。
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