研究課題
基盤研究(A)
上記研究課題について、以下の4つのサブテーマを設けて研究を行った。1.半数体育種技術の開発:花粉からの植物体再生能の高い日本型のハクサイならびにカンランの育成を試み、高再分化系統を作出した。また、この両種について病害抵抗性及び晩抽性系統の育成を花粉培養を用いて試み、育種素材として有望なDH系統を得た。花粉由来胚の貯蔵システムの開発を試み、ABA処理と低温貯蔵することで、胚の貯蔵と大量のプラグ苗の育苗の可能性が示された。2.胚発生の遺伝因子ならびに発生機構の解明:花粉由来胚発生のステージに従い、硝酸態窒素同化経路の酵素遺伝子が発現し、従属栄養から独立栄養へと変化することが明らかとなった。ナタネ、ハクサイについてダイアレル分析を行い、胚発生能の遺伝的要因を調査した。両種とも胚発生能は遺伝子の相加的効果が大きく、遺伝率も高いことが明らかとなった。また、ナタネの胚発生能に連鎖する3つのRAPDマーカーを見出し、それらのマーカーは胚発生に関して相加的効果を持っていた。3.遺伝的変異の拡大と新機能の開発:ナタネ、ハクサイの花粉胚発生における紫外線の影響を調査し、LD50を明らかにした。また、黒腐病菌と軟腐病菌の培養濾液が花粉胚形成に抑制的に働くことから、耐病性の選抜に利用できる可能性が示唆された。切り花培養へのγ線照射の影響を調査し、卵細胞期から受精期が最も感受性が高いことを明らかにした。ナタネの花粉培養系を用い形質転換を行い、低頻度であるが遺伝子導入の可能性が示された。導入遺伝子の確認として、簡易抽出DNAを用いたPCR法を開発した。4.半数体育種法の評価:RAPDマーカーを指標としてDH系統の固定度を調査した。DH系統は両親に比べて固定度は高かったが、系統内に多型を有していた。その他、本研究グループの情報交換を目的として、ニュースレター「Brassica talk」1〜3号を発行した。このニュースレターは、本研究終了後も引き続き発行していくこととなった。
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