研究概要 |
レンゲ跡不耕起乾田直播栽培を行った結果,移植栽培とほぼ同じかすこし少ない程度の収量が得られた。しかし,レンゲの雑草抑制効果を効果的に引き出すことがまだ不十分で,現在のところ,ある程度除草剤に頼らざるを得ないことが明かとなった。また,レンゲ跡不耕起乾田直播栽培イネの群落構造に関しては平成8年度に調査し,平成7年度に蓄積した湛水土中散播栽培イネの群落構造に関するデータと合わせて解析する予定である。レンゲ跡不耕起圃場の地表面付近の微気象に関しては,現在データ収集中である。 また,水稲地上部の窒素動態に関しては,レンゲの肥効が効き始める時期が不明確であったが,平成7年度の実験では通常の化学肥料使用の移植栽培に比べて非常に遅いことが分かった。平成8年度の実験では,定量的な解析によりこの点を明確にする予定である。 平成7年度の実験では,ポット実験によりレンゲ植物体分解に伴う土壌pH,酸化還元電位の変化を測定した。湛水開始時期によりこれらの土壌化学性の変化が異なることが明らかとなった。 レンゲの通年栽培における生育量の変動に関しては,従来より言われている,連作障害が問題となった。この原因解明のためには,さらなるデータの蓄積が必要であろう。また,レンゲ栽培初年度の圃場においてもレンゲの出芽苗立ちが不安定で,均一に生育させることが困難であった。排水溝の設置により全体としては多くのレンゲ草量が得られたが,部分的にはムラが発生したため,土壌水分以外の要因も関与していると考えられる。
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