研究概要 |
今年度は,主処理区として各々レンゲを緑肥として用いた代かき移植区,乾田耕起直播区,不耕起直播区を設け,副試験区として前二者には異なったレンゲすき込み時期を設けた.主に窒素吸収動態の解明に重点を置いた実験を行った. 結果は,レンゲすき込み時期によるレンゲの窒素保有量の有為な差は見られなかったが,C/N比としてはすき込みが遅くなるほど大きくなり,緑肥としては不適となることが改めて実証された.生育期間中,慣行栽培区を対照区にとり,葉緑素計により葉色の推移を調査したが,栽培法,レンゲすき込み時期による有為な差は見られなかった.生育期間中の個体の生育状況に関しては,解析が済んでいないため,統計的な有意差は論じられないが,乾田耕起直播区,不耕起直播区とも,代かき移植区に比べて約1週間ほど生育の遅れが見られ,それが出穂期の遅れにつながった.収量に関しては,レンゲすき込み時期による差は有意ではなかったが、乾田耕起直播区において雑草害が著しかったこと,ため,代かき移植区に比べて収量が有意に低かった.しかし,レンゲすき込み時期による差は有意ではなかった. 以上より,雑草害と出穂期の遅れによる収量減以外には,慣行栽培も含めた他の栽培法との大きな相違点は見いだせなかった.しかし,土壌中に残留している過去の肥料の影響が多分に考えられるため,上記の実験内容を今後も継続していく必要がある. その他の,圃場内微気象などに関するデータも,現在収集,解析中である.
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