研究概要 |
1.カ-ネーション花弁のACC酸化酵素の精製と薬剤の作用: カ-ネーション花弁からACC酸化酵素を単離精製して一般的な酵素学的性質を調べた.さらに,数種のACC類似化合物の酵素阻害作用を比較し,ACBC(1-aminocyclobutane-1-carboxylic acid)が最も強い阻害作用を持つことを明らかにした.ACBCの阻害様式は拮抗阻害で,Ki=20μMでありACCのKm=125μMよりも小さかった.(植物化学調節学会創立30周年記念大会,於宇都宮大学,平成7年10月で発表). 2.ACBC誘導体のデザインと酵素阻害活性: 植物体での移行性を考慮して,鮮度保持効果の高いACBC誘導体として,N-アセチル-ACBC(Ac-ACBC)とN-ベンゾイル-ACBC(Bz-ACBC)をデザインし入手した.これら2つのACBC誘導体もACC酸化酵素酵素活性を阻害することを見いだした.阻害活性は,ACBC>Ac-ACBC>Bz-ACBCの順であった. 3.ACBCおよびACBC誘導体のカ-ネーション切り花に対する鮮度保持効果: カ-ネーション切り花に対する鮮度保持効果は,Bz-ACBC>AC-ACBC>ACBCの順に大きかった.これはACBCを誘導体に変えることによって,ACBCが分解されにくくなり細胞内濃度が高く保たれることによると考えられた. 4.AIBの収穫前(プレハーベスト)処理によるカ-ネーション切花の鮮度保持効果の検討: 5月に定植したカ-ネーションを材料にして,開花前に水やりを兼ねてAIB(α-アミノイソ酪酸)で処理した.開花後,各処理区の切花について花弁の萎凋までの日数を調査しAIBのプレハーベスト処理が切り花の鮮度を高めることを見いだした.今後,切花内のAIB濃度を測定して,有効濃度を明らかにする予定である.
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