研究課題/領域番号 |
07556013
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
日比 忠明 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 教授 (50261954)
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研究分担者 |
大塩 裕陸 住友化学工業, 生命工学研究所, 所長
阿久津 克己 茨城大学, 農学部, 教授 (10151002)
石川 幸男 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 助教授 (60125987)
冨田 隆史 国立感染症研究所, 昆虫医科学部, 研究員 (20180169)
河野 義明 国立感染症研究所, 昆虫医科学部, 室長 (10225386)
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キーワード | 薬剤耐性 / ベノミル剤耐性 / 灰色かび病菌 / 有機リン剤耐性 / カンキツ緑かび病菌 / コガタアカイエカ / ジカルボキシイミド剤耐性 |
研究概要 |
1.カンキツ緑かび病菌のDMI剤耐性株は、シクロヘキシミド、アクリフラビン、4NQOなどDMI剤とは化学構造や作用機構のまったく異なる薬剤に対しても耐性を示したことから、多剤耐性であることが明らかになった。 2.灰色かび病菌のジカルボキシイミド剤耐性株の培養ろ液中に存在する薬剤耐性誘発因子の精製を進めた結果、本因子が核酸関連物質である可能性が示されたので、各種の核酸関連物質について耐性誘発活性を検定したところ、cAMPのみにその活性が認められた。さらに、ELISAによって培養ろ液中にcAMPが存在することを確認するとともに、cAMPを除いた分画には耐性誘発活性が認められないことが明らかになったことから、薬剤耐性誘発因子の本体はcAMPもしくはそのアナログであることが強く示唆された。一方、本菌の多剤耐性遺伝子と推定される全長クローンについてその全塩基配列(4.5kb)を決定したところ、本遺伝子はP-glycoproteinをコードしており、そのプロモーター領域には酵母の多剤耐性制御因子結合配列(RDRE)と酷似した配列が存在していることが明らかになった。 3.コガタアカイエカの有機リン剤耐性株由来のアセチルコリンエステラーゼ(AChE)cDNAをBmNPV/BmN4細胞系で発現させたところ、AChE活性は検出されたが、有機リン剤に対する耐性化は認められなかった。一方、耐性株と感受性株を交雑して阻害実験を行った結果、AChEに感受性をもたらす遺伝因子は劣性で、F1を耐性株で戻し交雑したB1では、両株が持つAChE非感受性/感受性の形質が等比で分離した。この遺伝因子はAChEコード領域には内在していないことから、キイロショウジョウバエで唯一実験的に証明されている有機りん剤耐性AChEの遺伝的機構とは異なる機構がコガタアカイエカに存在する可能性が示唆された。
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