研究課題/領域番号 |
07556015
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研究種目 |
基盤研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 展開研究 |
研究分野 |
植物保護
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研究機関 | 三重大学 |
研究代表者 |
久能 均 三重大学, 生物資源学部, 教授 (20024573)
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研究分担者 |
小林 堅志 (株)キング化学グリーン研究センター, 所長
谷 利一 (株)緑地環境研究所, 所長
吉本 玲子 石川県農業短期大学, 講師 (70106079)
百町 満朗 岐阜大学, 農学部, 教授 (90113612)
東條 元昭 大阪府立大学, 農学部, 助手 (90254440)
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研究期間 (年度) |
1995 – 1997
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キーワード | 芝草病害 / 芝地低農薬管理 / 農薬動態 / 植物生長促進菌類 / バイオコントロール / 芝地低農薬管理ソフトウエア / 病原菌DNA解析 / 新芝地病害 |
研究概要 |
本研究は、芝草病害の発生特性を解析し、病害の早期診断法を検討するとともに、芝草健全育成法の改良、薬剤散布の改善と化学、生物防除法の併用を検討し、芝地の低農薬総合管理システムを確立することを目的とした。芝地病害の病原菌の正確な同定は早期診断と防除に必須である。芝地の詳細な観察やDNA解析により、5種の新病害、病原菌が同定された。また、芝地重要病害の発生時期を左右する病原菌生息密度に関する季節的変動データが得られ、さらに、病害の発生度を客観的に評価する画像解析法が考案された。これらの成果は、病害発生初期の薬剤の適切な選択と薬剤処理のタイミングの重要性を指摘している。芝地に散布される農薬のうち、殺菌剤「グラステン」、除草剤「テルブカルブ」が流出しやすいことが指摘された。農薬流出への対策として低水量農薬散布が検討され、多数の検定農薬は所定よりも低い水量散布で防除効果とその持続性が高いことが実証された。病害発生の早期発見と発生箇所に対する農薬の低水量スポット散布は農薬流出の危険性と農薬使用量を減少させる効果がある。また、芝地に生息する植物生長促進菌類や菌根菌を土中で増殖させたり、適切に配合した植物成長ホルモンと肥料とを施用することによって、芝草が健全に育成され、病害発生が激減することが確認された。さらに、芝地から病原性糸状菌に拮抗する放線菌、細菌が検出されたが、実用化は今後の研究問題として残された。拮抗性微生物を含有し、土壌病害対策用として市販されている微生物資材の芝地病害防除効果が試験され、ダラ-スポット病、洋芝葉腐病に対して予防、回復効果があることが証明された。これらの資材の活用は芝地の減農薬管理に有効である。以上の研究成果を基礎に、芝地の低農薬管理ソフトウエアの性能改善が図られ、病害発生危険線の設定条件が改良された結果、重要病害の発生を3日前までに予測できる程度に精度が向上した。このソフトウエアの活用により、散水、施肥を含む芝地管理、病害の予防と早期治療が可能となり、低農薬総合管理システムが確立された。このシステムは全国約600箇所のゴルフ場で採用されている。
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