研究課題/領域番号 |
07556018
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研究機関 | 玉川大学 |
研究代表者 |
小野 正人 玉川大学, 農学部, 助教授 (70204253)
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研究分担者 |
浅田 真一 神奈川県農業総合研究所, 生物資源部, 技師
中村 純 玉川大学, 学術研究所, 講師 (30256002)
吉田 忠晴 玉川大学, 学術研究所, 教授 (80138601)
佐々木 正己 玉川大学, 農学部, 教授 (40096061)
松香 光夫 玉川大学, 農学部, 教授 (30074339)
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キーワード | マルハナバチ / オオマルハナバチ / クロマルハナバチ / ポリネーター / 昆虫機能利用 / 飼育法 / 花粉媒介 / 生物多様性の保全 |
研究概要 |
前年度の研究において、日本産マルハナバチ類の中で作物の授粉用に実用化できる種として選定されたオオマルハナバチ(Bombus hypocrita)とクロマルハナバチ(B.ignitus)の増殖と花粉媒介能試験を中心に研究を行った。 新女王蜂に関して、成熟段階まで至ったコロニーでの平均生産数はオオマルハナバチが約20頭、クロマルハナバチが約30頭であり、セイヨウオオマルハナバチの約40頭に比較して劣っていた。また、働き蜂の生産数に関しても、日本産の2種が各々約60頭、約80頭であったのに対して、セイヨウオオマルハナバチは約140頭に至り、既に商品化されている欧州産種の高い増殖率が示された。しかし、日本産種の中には時に欧州産種をしのぐものもおり、選抜育種を行うことでより生産性の高い系統を生みだしうるのではないかと考えられた。日本産マルハナバチの農業に利用する上での優れた点の一つに性質が温順で刺害頻度が低いという点が挙げられた。 日本産種の働き蜂の生産性は欧州産種に比べると低かったが、トマトハウス内での授粉効率は極めて高く、コロニーの寿命も欧州産種のそれにほぼ匹敵していた。このことは、働き蜂個々の労働効率が優れていることに関係していると思われ、今後さらに精査することが期待される。 欧州産種が日本の生態系へ侵入した場合に、大きな負のインパクトをもたらすことを示唆する実験データが挙げられている最中、一刻も早い日本在来種の実用化が望まれるが、最近では企業からの賛同も得られ、具体的な検討がなされ始めた。本研究での取り組みが、その端緒となったのは大きな成果といえよう。
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