環境への負荷を低減し、農耕地生態系を保全しつつ、生産性を維持、発展させる新しい農耕地生態系の管理システム技術を開発するために、農耕地における養分元素のダイナミクスを定量的に明らかにする必要がある。 東京農工大学農学部付属農場府中農場牧場内にイタリアンライグラス、レッドクローバおよび両者の混播採草地をランダムに9プロット(6m×6m)を配置した。この試験区への大気由来の元素の流入を計測するために降下物(降水・ドライフォールアウト)採取装置を設置した。無機態窒素の降下量は1.5g/m2/yrで、リン降下量は0.07g/m2/yrであった。土壌中の水分移動に伴う元素の動態を把握するために、土壌溶液採取装置およびテンシオメータを土壌に埋設し、経時的に土壌水を採取、分析するとともに、土壌中の水分移動を自動的に計測している。さらに電気伝導度計測用電極を試験区に埋設し、養分元素の移動をモニタリングしている。 実験室内では、砂土および砂壌土の粒径組成を持つ土壌試料を、あらかじめ高さ1cm1ごとに切断してある直径4.4cmの塩化ビニルカラムに、0.025mol/l塩化カルシウム溶液もしくは0.05mol/l塩化ナトリウム溶液で飽和させつつ充填した。一方、0.075-0.20mol/lの塩化カルシウム、塩化ナトリウム溶液で飽和させたカラムを連結させ、イオンの拡散による移動を計測した。 みかけのイオンの拡散移動量およびその速度から元素の流出をシミュレートする。
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