研究概要 |
実験フィールドに設置した乾性および湿性降下物(バルク)採取装置によって捕捉された窒素量から、大気由来の窒素の流入は、2.46gm^<-2>yr^<-1>で、1995年のそれよりもやや増加していた。大気由来の窒素の流入量は、施肥窒素の15.8%に相当し、大気由来の窒素の流入を考慮した窒素施用量を提案する必要がある。また、土壌溶液中の無機態窒素の大部分は、土壌中での活発な硝化によって硝酸態窒素として存在し、その濃度は、土壌の深さや作物の種類によっても異なるが、0.1-137mgL^<-1>で、土壌溶液の電気伝導度を規制していた。一方、リンの流入は、0.08gm^<-2>yr^<-1>で、1995年とほぼ同じレベルであった。流入したリンは、土壌構成成分と内圏錯体を形成し、土壌構成成分に強く吸着して、土壌溶液中には極めて微量にしか存在しない。 降下物採取フィールドに隣接する実験フィールドに、深さ30,60,90,130cmにpF測定用ポーラスカップおよび電気伝導度測定用電極を同一地点に互いに重なることなく埋設し、年間を通じて水分フラックスおよびイオン移動をモニタリングして、基本的な水分および物質のフラックスを把握した。 pF測定用ポーラスカップ、電気伝導度測定用電極を装着した一次元および二次元土壌カラムを用いたカリウムの拡散移動室内実験を粒径組成の異なる標準砂試料で繰り返し実験を行ない、精度の高い土壌カラム装置を完成することができた。この装置を用いて、カリウムの拡散速度を異なる土壌で測定する。
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