研究課題/領域番号 |
07556025
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研究機関 | 岡山大学 |
研究代表者 |
長澤 透 岡山大学, 農学部, 教授 (60115904)
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研究分担者 |
上田 誠 三菱化学(株), 横浜総合研究所, 主任研究員
池田 篤治 京都大学, 農学部, 教授 (40026422)
中野 秀雄 名古屋大学, 農学部, 助教授 (00237348)
山根 恒夫 名古屋大学, 農学部, 教授 (70026102)
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キーワード | 位置特異的水酸化反応 / ピリジン環の水酸化 / 3-シアノピリジン / 6-ヒドロキシ-3-シアノピリジン / 2,5-ジヒドロキシピリジン / 6-ヒドロキシニコチン酸モノオキシダーゼ |
研究概要 |
新規ニコチニル系殺虫剤の基本骨格の酵素的生産に関する研究について、次のような成果を得た。 (1)3-シアノピリジンの位置特異的水酸化反応について:以前よりニコチン酸の6位の位置特異的水酸化反応について検討し、6-ヒドロキシニコチン酸を著量に生産蓄積する微生物を単離し、本反応を触媒するニコチン酸脱水素酵素を精製単離し、諸性質を明らかにした。6-ヒドロキシニコチン酸は新規ニコチニル系殺虫剤の基本骨格となる。その後、3-シアノピリジンの6位を特異的に水酸化して、6-ヒドロキシ-3-シアノピリジンを生成蓄積する微生物を見いだした。6-ヒドロキシ-3-シアノピリジンは6-ヒドロコシニコチン酸よりも還元が容易であることから、ニコチニル系の殺虫剤合成の基本骨格として、経済的に有利である。そこで本水酸化反応を用いた6-ヒドロキシ-3-シアノピリジンの生産研究を試みた。まず高活性菌の検索を系統的に行い、ニコチン酸分解菌の中で、広い基質特異性を示す菌が3-シアノピリジンに作用することを明らかにした。高活性菌体を得るための培養条件の最適化、また反応生成物の生産性た向上させるための反応条件の最適化等を達成し、工業レベルでの応用が期待される。 (2)6-ヒドロキシニコチン酸モノオキシゲナーゼの精製と本遺伝子のクローニング:以前より検討を加えてきたニコチン酸の6位の水酸化反応に続く、次ステップの反応を酵素レベルで明らかにした。即ち、6-ヒドロキシニコチン酸は次に脱炭酸的に水酸化され、2,5-ジヒドロキシピリジンを生成する。本化合物を出発物質として極めて高価な生理活性物質であるδ-アミノレブリン酸に変換することが可能であることから、本酵素を用いて6-ヒドロキシニコチン酸の2,5-ジヒドロキシピリジンへの酵素変換を検討した。また本酵素を精製単離して、FADを補酵素とし、NADPH依存性のモノオキシゲナーゼであることを明らかにした。また本反応の有用性を考慮して、本酵素遺伝子のクローニングを行い、本遺伝子の全塩基配列を決定した。さらに大腸菌での本遺伝子の発現に成功した。
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