研究課題/領域番号 |
07556027
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
山崎 素直 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 教授 (00011982)
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研究分担者 |
佐藤 敏生 広島大学, 理学部, 教授 (90087130)
吉村 悦郎 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 助教授 (10130303)
大久保 明 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 助教授 (20111479)
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キーワード | 不斉合成 / DMSO還元酵素 / キラルスルホキシド / N-オキシド / 不斉還元 / Rhodobacter sphaeroides |
研究概要 |
酵素はFPLCにより極めて純度よく精製することが可能になった。酵素の基質としてはアルキルアリールスルホキシド(RArSO)およびピリジン誘導体とプリン誘導体のN-オキシドなど広範なスルホキシドおよびN-オキシド誘導体を触媒することがわかった。反応速度の解析にはキャピラリー電気泳動法が有効で、短時間に基質と生成物の良好な分離と定量ができ、それぞれの基質の反応速度VmaxおよびKmを決定することができた。不斉有機合成に用いるRArSOを基質とした場合は、反応後スルホキシドを回収し、旋光度、キラルシフト試薬を用いたNMR、キラルHPLCカラムを用いてその鏡像体純度を算出した。本酵素によってラセミ体のスルホキシドのうち、S体のみを選択的に還元し、未反応のR体を100%e.e.で回収することができた。なおアリール基がベンジル基になると、選択性がかなり低下したが、速度論的光学分割を行うことによって純度よくR体を回収することができた。微生物を用いたキラルスルホキシドの直接不斉還元条件も検討した。Rhodobacter sphaeroidesf.s. denitrificansは、RArSOを添加したリンゴ酸培地では、生育が阻害されるので、まず、本菌を嫌気的明条件下、DMSOを添加して酵素を誘導し、これに反応基質を加えて還元した。この反応条件を検討した結果、対数増殖期の菌体よりも、定常期初期の菌体を用いた方が、反応速度も速く、回収されるスルホキシドの鏡像体純度が高いという結果が得られた。基質としては、メチルフェニルスルホキシド、メチルトリルスルホキシド(MTSO)といったアルキル部分がメチル基の基質では効率よく進行し、特に不斉有機合成の出発原料となるMTSOはグラム単位でR体を調製することができた。酵素遺伝子の大量発現系は現在においても検討中である。
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