研究概要 |
花の赤から紫、青の色はアントシアニンで、僅か数種の発色団で千差万別な色を賄っている。発色機構を化学的に明らかにして、この原理に基づいてアントシアニン生合成遺伝子をクローニグして、本来、青色色素遺伝子を持っていない花、キク、バラ、カ-ネーションなどに、遺伝子導入し新たな色を持った花を分子育種する。研究の歴史の最も長いヤグルマギク青色プロトシアニンの発色機構の解明を行なった。この色素は、鉄、マグネシウムが中心金属の2核錯体で、青色発色は、発色団から鉄への電街道であることを明らかにした。他の青色花弁色素の化学構造の解明より、メタロアントシアニンが自然界普遍的に存在することを明らかにした。アジサイは変幻にその色を変える。青色はpH4.0でデルフィニジン3-グルコシドとイソクロロゲン酸、アルミニウムイオンによって、赤色は、pH3.0以下で再現された。空色アサガオ(Ipomoea tricolor)の開花段階のpH測定から、花弁の色素細胞が蕾ではpH6.6開花すると7.7まで上昇する。即ち、青色は色素細胞の液胞pHのアルカリ化によることが分った。 花色発現機構解明を基礎に、アントシアニン生合成遺伝子、フラボン3′,5′水酸化酵素遺伝子をペチュニア取りだし、カ-ネーションに導入し藤色花の創製に成功した。色素を青色、安定化する芳香族酸のトランスアシラーゼ遺伝子をリンドウから取り出してその特性を調べた、さらに、フラボンからアントシアニンヘのゲート酵素遺伝子(ジヒドロフラボノール-4一レダクターゼ)を取りだし、ペチュニアの変異種に導入すると無色の花が橙色になることが分った。
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