研究課題/領域番号 |
07556029
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研究種目 |
試験研究(B)
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
遠藤 泰志 東北大学, 農学部, 助手 (60194049)
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研究分担者 |
川端 壮平 東北電子産業(株), 開発部, 研究部長
薄木 理一郎 尚絅女学院短期大学, 生活科学部, 教授 (10005621)
藤本 健四郎 東北大学, 農学部, 教授 (00005620)
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キーワード | 熱ルミネッセンス / 過酸化物価 / 食用油 / ヒドロペルオキシド |
研究概要 |
油脂の過酸化物測定法には、化学的測定法(過酸化物価など)と物理的方法があるが、この中、ヨードメトリー法による過酸化物価の測定法が一般に用いられている。しかし、この従来法は環境に影響を及ぼすクロロホルムなどの有機溶剤を使用すること、また分析者の熟練を要するなどの問題点を有しており、新しい分析法の開発が要求されている。そこで本研究では、油脂の酸化劣化の過程で生ずる発光現象、特に食用油脂を加熱した際に生じる熱ルミネッセンスに着目し、この熱ルミネッセンスを測定することにより、食用油脂の過酸化物価を定量するシステムの開発を試みた。すなわち光子計数器を備えた熱ルミネッセンス測定装置を組み立てると共に、この試作装置を用いて、異なる過酸化物価(0.1-20meq/kg)の大豆油を100℃に加熱した際のルミネッセンスを測定した。その結果、大豆油の熱ルミネッセンス強度は、大豆油に含まれる酸化防止剤の量には影響されず、過酸化物価との間に正の相関を示すことを認めた。この熱ルミネッセンスは、450-550nmに励起カルボニル種由来のエミッションバンドを呈することから、その発光メカニズムは、脂質ヒドロペルオキシドが熱により分解されて生じる励起カルボニル種に基く光エネルギーと思われた。 本試作装置は、感度や精度の点でまだ不十分であるので、次年度はそれらの向上を目指すと共に、発光増強剤の選定についても検討する。また大豆油以外の食用油脂についても本システムの応用が可能か調査する。
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