研究課題/領域番号 |
07556035
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研究種目 |
試験研究(B)
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
宝月 岱造 東京大学, アジア生物資源環境研究センター, 教授 (10107170)
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研究分担者 |
木佐貫 博光 東京大学, 農学部(林), 助手 (00251421)
福田 健二 東京大学, 農学部, 助手 (30208954)
小島 克己 東京大学, アジア生物資源環境研究センター, 助教授 (80211895)
井出 雄二 東京大学, 農学部(林), 助教授 (90213024)
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キーワード | カラマツ属 / トウヒ属 / ヒノキ / メラル-カ / 繁殖様式 / 家系 / 多様性 / PCRフィンガープリント法 |
研究概要 |
本研究の目的は、特定の樹種について、森林全体の家系の多様性を維持しつつ同時に特定の優良家系を拡大するための森林管理法を、その繁殖様式を基礎にして確立することにある。そこで、まず、樹木の繁殖様式推定のための方法を検討した。カラマツ属およびトウヒ属樹木について表現型による遺伝様式の解明に取り組んだ。カラマツ属ではカラマツとグイマツとの種間雑種について、一年生枝の有毛性および枝色の遺伝ならびに球界の諸形質の遺伝を調べた。その結果1年生枝の形質遺伝は母樹の影響が大きいこと、球果は両母樹の中間を示すものの変異の大きいことが解り、表現型によっても、厳密性は低いが、ある程度の確度で遺伝様式、ひいては繁殖様式の推定が可能なことが明らかになった。また、トウヒ属のエゾマツとアカエゾマツの天然雑種についても、枝の有毛性や葉の断面の形状および球果の特徴といった表現型が、繁殖様式の推定に利用できるかどうかを検討した。種間雑種には中間型の形質を示すものとエゾマツよりの形質を呈するものの2型が確認され、表現型が繁殖様式を推定する上で、あまり有効ではないことが解った。現在、RAPD法によるDNAフィンガープリントの有効性を検討している。 本研究のもう一つのキーワードである多様性についても検討した。ヒノキの天然生林と天然林由来の実生人工林と通常の実生人工林とについてアロザイムの対立遺伝子頻度分析を行ったところ、前二者とも通常の人工林に比べると高い遺伝的多様性を保持していることが解った。以上の結果から、遺伝的多様性の高いヒノキ人工林の育成には、天然林実生を素材とした造林が適していることが明らかになった。 その他に、メラル-カ林の試験地設定および生態調査(毎木調査)を行った。また、葉のサンプリングを行い、現在、RAPD法によるDNAフィンガープリントのためのプライマーを検討中である。
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