研究概要 |
1.水分傾斜とキャパシタンスの関係の検討 共振回路法により電極間隔および周波数を変化させて実効電界深度について実験的な検討を行った。周波数は2.5MHzと10MHzで検討した。電極間隔は6cmまで変化させた。厚さの異なる試験体の下に水を置く模擬モデルによって水分傾斜の影響を調べた。周波数の依存性はほとんどみられなかった。電極間隔を広くすることによりキャパシタンスは連続的に増加し,電極間隔に対応して深度の深い部分の水分を検知することができた。実効電界深度は30から35mmであった。 2.水分傾斜の推定アルゴリズムの検討 試験体厚さを変え,下に空気層と水を置いた結果から,各電極間隔で試験体厚さとキャパシタンスとの関係はほぼ指数関数で当てはめることができた。その時定数に相当する厚さの特性値は電極間隔と直線関係があることが見いだされ,これから誘導された推定式により,表面から約3cmまでの水の位置を定量的に推定できた。 また,含水率の異なる薄板を重ねて含水率傾斜の異なるモデル試験体について同様の実験を行い,キャパシタンスCと電極間隔Xおよび平均含水率Uの間の関係式(C=a・exp(-bX)+d)が誘導された。ただし,a,b.dはUの一次式である。この式により,厚さ方向の水分傾斜が定性的に把握できる。次の課題として,傾斜の絶対値を推定するため,キャパシタンスと含水率の関係の定量化を次年度で継続して検討する。
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