研究概要 |
キャラボクの抽出成分を有効理由するため、次の1〜6について検討した。 1 エリシターを用いたカルス培養でのタキソ-ル生産:キャラボクカルスにキトオリゴ糖を添加するとタキソ-ル生産が5.1倍増加した。このキトオリゴ糖中の最も活性の高いエリシターは、キトヘプタオースであることを見いだした。 2 細胞懸濁培養によるタキソ-ルの生産:6種の培地を用いて、キャラボクの細胞懸濁培養について検討した結果、タキソ-ル生産性の高い培地としてF4G4培地を見いだした。この培地を用いたタキソ-ル生産性の向上については検討中である。 3 (2S,3R)-(-)-N-ベンゾイル-3-フェニルイソセリンの合成:タキソ-ル側鎖部,フェニルイソセリンをベンズアルデヒドから9段階で全収率は0.1%で立体選択的に合成した。 4 タキシニンの化学変換:タキシニン(T)からタキソ-ル類化合物を調製するため、Tの2,9,10位の置換基の化学変換について検討し、2位のアセチル基をメトキシメチル基で、9,10位のアセチル基をイソプロピリデン基に変換できた。Tの4,5位,13位の置換基の変換については検討中である。 5 タキシン及びその誘導体の抗菌性:イネゴマ葉枯病菌とナシ黒斑病菌に対する抗菌性を調べ、タキシニン及び1種の誘導体が抗菌性を示すことを見いだした。 6 イチイ葉抽出成分とイチイ属樹木のケモタキソノミー:イチイ葉からタキシニン,タキソ-ル及び4種のフラボノイドを単離した。また、これらのフラボノイドを指標成分とすれば、イチイ属樹木をケモタキソノミー的に分類出来ることを見いだした。
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