研究分担者 |
井ノ口 敏雄 (株)マルトー, 技術企画室, 研究技術顧問(研究職
尾形 潔 日立生産技術研究所, 第2部24研, 研究員
小松 輝久 東京大学, 海洋研究所, 助手 (60215390)
中井 泉 東京理科大学, 理学部, 助教授 (90155648)
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研究概要 |
本研究の最終年にあたる本年度は以下の項目について検討を行い,次のような成果を得た。 1.方法論の確立:魚類の耳石を中心とした海産生物の硬組織の標本作製法は,本研究の過程で確立することが出来た。また測定システムの開発試験も完了した。さらに生活史履歴の指標元素としてストロンチウムが回遊履歴と環境変動の推定に適していることがわかった。 2.シンクロトロン放射光関係の検討:シンクロトロン放射光による蛍光X線イメージンについては,方法論的にはすでに昨年度までに確立できたので,本年度は実際に15例の耳石の解析に応用し,生態学的評価を行った。 3.測定装置の開発:放射光による蛍光X線イメージングのみならず,実験室系でもルーチン的にイメージングが可能な装置を設計製作した。真空試料室をそなえ,パルスモータによるx,y,およびシ-タ回転軸の3軸の制御が可能である。本装置の特徴は,X線管球からのMoのX線をグラファイトモノクロメータで単色化する方式を採用した点である。これにより,通常の市販の蛍光X線分析装置より励起X線の散乱によるバックグランドを著しく低減できることから,耳石中の微量成分の2次元分析が可能となることが期待でき,現在基礎実験を行っている。 4.有効性の検討:本研究で開発された放射光分析法の有用性を検討したところ,これまで通し回遊魚と考えられていたウナギのうち,東シナ海で採集されたものはすべて一生の内一度も淡水域へ遡上した経験を持たない個体であることが明らかになるなど,多くの新発見があり,本法の有用性を確認することができた。
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