研究概要 |
1Flavobacterium-Cytophaga群の細菌の16Sr RNAの塩基配列を比較解析し、同群に属する魚病細菌であるFlavobacterium branchiophilum,Cytophaga psychrophila,Cytophaga columnaris,Flexibacter maritimusの検出に利用できるDNAプライマーの設計を試みた。その結果、作成したプライマーを用いてPCRを行い、F.branchiophilum,C.psychrophila,F.maritimusについては、各々、同定に使えるBRA1-1500R,PSY1-PSY2,MAR1-MAR2のプライマーペアが得られた。一方、C.columarisには16S rRNAの異なる二つの群があることがPCRならびにPCR-RFLPによって確認された。 2クルマエビのビブリオ病原因菌Vibrio sp.PJの16Sr RNAの解析結果に基づき、2つのプライマー(P-PJF,R-GEN)を設計し、349bpのオリゴヌクレオチドを産物とするRT-PCR系を作成した。比較のためクルマエビ類に病原性をもつとされる13種のVibrio属細菌に対して本PCRを行ってみたが、同じ増幅産物は得られず、本PCRにより本菌を特異的に検出できることが確かめられた。また併せて、Vibrio sp.PJが新種であることが確かめられたので、Vibrio paenaeicidaなる種名を提案した。 3せっそう病原因菌Aeromonas salmonicida subsp.salmonicidaの染色体DNAを鋳型としてRAPD PCRを行い、種特異的に増幅してくるDNA断片を3つクローニングした。そのうち1つであるASS1はsubsp.salmonicidaに特異性を示した。ASS1の塩基配列を決定し、PCRプライマーを設計した。このプライマーを用いて、Aeromonas属細菌および種々の魚病細菌のDNAに対してPCRを行ったところ、subsp.salmonicidaのDNAのみから目的サイズのDNA断片が増幅してきた。また、感染イワナの腎臓からのsubsp.salmonicidaの検出も可能であった。
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