研究概要 |
1 Flavobacterium-Cytophaga群の細菌の16SrRNAの塩基配列を比較解析し、同群に属する魚病細菌であるFlavobacterium branchiophilum,Cytophaga psychrophila,Cytophaga columnaris,Flexibacter maritimusの各々に特異なPCRプライマーを作成した。 2 平成7年4-7月と8年1-6月の採捕直後凍結保存された琵琶湖産アユ稚魚についてChelex法でDNAを抽出し、nested PCR法によりC.psychrophilaの検出を試みた結果、7年は20ロット中の7ロット、計146尾中の18尾、8年は5ロット中4ロット、計18尾中6尾が陽性であった。また、ギンザケ種卵の洗浄液遠心沈殿物について検査した結果、輸入卵9ロット中5ロットが陽性であり、国産卵2ロットは陰性であった。 3 Vibrio panaecidaの16SrRNAの解析を行い、特異なプライマーを作成した。養殖クルマエビの内臓からGITC法でRNAを抽出し、RT-PCR法により本菌の検出を試みた。平成8年6月に40尾、同年9月に60尾の外見的に健康と判断されたエビを検査したところ、計10尾(6月5/40、9月5/60)のエビが陽性であった。 4 Pasteurella piscicidaの特異プライマーを使って愛媛県下の養殖ブリおよび野生魚を検査したところ、培養法および蛍光抗体法より高い頻度で保菌魚を検出することができた。 5 P.piscicidaに特有のプラスミッドpZP1の塩基配列に基づき、特異なPCRプライマーを作成した。プラスミッドを標的とする本プライマーは、従来のゲノム上のシングルコピーDNAを標的とするより10倍以上検出感度が高いことが分かった。 6 Aeromonas salmonicidaの染色体DNAをRAPD-PCRで解析し、subsp.salmonicidaに特異的なDNA断片ASS1をクローニングした。ASS1の塩基配列に基づくPCRプライマーによりイワナ病魚の腎臓からsubsp.salmonicidaを検出することができた。また、非定型A.salmonicidaをRAPD-PCRで解析した結果、近縁の4亜種とはDNA塩基配列が全く異なることが分かった。
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