研究課題/領域番号 |
07556048
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研究種目 |
試験研究(B)
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
左子 芳彦 京都大学, 農学部, 講師 (60153970)
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研究分担者 |
丸山 正 (株)海洋バイオテクノロジー研究所, 主任研究員
石野 良純 宝酒造(株), バイオ研究所, 主任研究員
内田 有恆 京都大学, 農学部, 助教授 (50027190)
石田 祐三郎 京都大学, 農学部, 教授 (20026488)
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キーワード | 超好熱細菌 / 海底熱水口 / 耐熱酵素 / PCR / 炭酸固定酵素 / プロテアーゼ / 古細菌 |
研究概要 |
海底熱水口からの未知遺伝子資源の開発を目標とし、産業的に利用価値が高い80-120℃で増殖可能な超好熱細菌を分離培養するシステムを確立するとともに、医学、遺伝子工学や食品・化学工業の分野で切望されている耐熱酵素の検索、精製およびその遺伝子クローニングを行い利用しようとするものである。本年度の研究実績の概要は以下の通りである。 (1)嫌気性超好熱細菌の分離・培養システムにおいては、耐熱性樹脂キャップと耐圧性ガラスボトルおよび改良を加えた特殊ブチルゴムを用いることにより、120℃まで使用可能な培養システムを開発した。本システムを用いて、長崎県橘湾の海底熱水口より至適増殖温度100℃の嫌気性古細菌Pyrococcus sp.を分離して、現在本菌のDNApolymeraseの遺伝子クローニングを行っているところである。 (2)好気性の培養システムにおいては、従来の浸盪培養機に多くの断熱、耐熱材や耐熱グリースを用いることにより、98℃まで使用可能な浸盪培養機を試作した。本機により分離株の同調的な大量培養が可能になった。本システムを用いて、橘湾の海底熱水口や小浜温泉より新奇好気性超好熱細菌Aeropyrus spp. を分離して、16SrDNAの塩基配列より系統学的位置を明らかにした。その結果、上記の株は好気性の超好熱古細菌でCrenarchaeotaに属し、DesulfurococcusやPyrodictiumと近縁であるが属レベルで区別されうる新属種であった。 また本分離株は,至適増殖温度90〜95℃、至適pH7.0の海洋性超好熱細菌で、チオ硫酸塩の添加により増殖が著しく促進された。 (3)好気性培養システムを用いて、橘湾より好気性の超好熱真正細菌の分離も行った。本株は耐熱性寒天上に赤いコロニーを形成し、至適増殖温度が80℃の海洋性細菌で、16SrDNAの情報より真正細菌に属しRhodothermus obamaeと命名した。現在本株より、炭酸固定酵素であるphosphoenolpyruvate carboxylaseの精製を行っている。
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