研究課題/領域番号 |
07556052
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研究種目 |
試験研究(B)
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
中野 政詩 東京大学, 農学部, 教授 (00011908)
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研究分担者 |
塩沢 昌 筑波大学, 農林工学系, 助教授 (80134154)
粕渕 辰昭 山形大学, 農学部, 教授 (00250960)
梅田 安治 北海道大学, 農学部, 教授 (90001411)
西村 拓 東京大学, 農学部, 助手 (40237730)
宮崎 毅 東京大学, 農学部, 助教授 (00209892)
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キーワード | 泥炭 / 環境保全 / 物質移動 / 透水係数 / 異方性 / 亜酸化窒素ガス |
研究概要 |
平成7年度は初年度であり、現地調査(4月、5月、8月、10月)において、オーガーホール法による現場透水係数、揚水試験による現場透水量係数、流量観測による排水路流量と湿原排水量、ゲルフパ-ミアメーターによる現場透水係数、亜酸化窒素ガス(N_2O)およびメタンガスの土中分布と土中フラックスなどの測定を行った。また、高位・中間・低位それぞれの土壌断面を観察記載し、土壌試料を採取し、これら試料の物理性を室内実験により測定した。 測定の結果、湿原の表面付近0〜18cmの透水係数は0.15〜0.40cm/sであり、それ以深は0.0015〜0.002cm/sであることが十分な信頼性をもって確かめられ、湿原を流動する地下水量のうち、平常でも80〜90%、大きな降雨や融雪時には100%に近い量が地表から深さ18cmまでのミズゴケ層を早い流速で流れていることが分かった。また、泥炭土の異方性を調べ、水平方向の透水係数は垂直方向の透水係数より大きく、中間泥炭では1〜2オーダーの差があること、高位泥炭土と低位泥炭土では数倍〜1オーダー程度の差しか存在しないことを明らかにした。亜酸化窒素ガス(N_2O)の地表へのフラックスは、土中濃度勾配に比例する拡散移動が支配的であることをつきとめ、その量は畑で8〜14ng/m^2s、休耕水田で2〜10ng/m^2s、湿原で0〜1ng/m^2sであり、この順に大きいことを明らかにした。更に、ガスフラックスは地表温度が高いときに大きいこと、全ての測定地点で春に最大フラックスを生ずること、土壌の含水比が高いときにフラックスが大きいこと、水田ではガスの土中濃度分布があってもそれは小さいものであり、しかも間隙の閉塞によって拡散移動が妨げられることがわかった。
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