研究課題/領域番号 |
07556052
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
中野 政詩 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 教授 (00011908)
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研究分担者 |
塩沢 昌 筑波大学, 農林工学系, 助教授 (80134154)
粕渕 辰昭 山形大学, 農学部, 教授 (00250960)
梅田 安治 北海道大学, 農学部, 名誉教授 (90001411)
西村 拓 東京農工大学, 農学部, 講師 (40237730)
宮さき 毅 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 助教授 (00209892)
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キーワード | 泥炭 / 環境保全 / 物質移動 / 水収支 / 透水量係数 / 収縮 / 熱伝導率 |
研究概要 |
本研究は平成9年度をもって終了する。本研究の目的は、美唄湿原とその周辺泥炭地における物質循環システム図を作成し、これに基づいて湿原生態系の環境保全と泥炭地における持続的農業生産との共存・調和のための提言を行うことである。そこで本年度は、(1)美唄湿原の水収支と水循環を明らかにするため、前年に引き続いて地下水面測量、地表面測定、地表植生が笹を主体としてやや乾燥傾向にある湿原地点における現場透水試験などを実施し、(2)高位泥炭、中間泥炭、低位泥炭それぞれにおいて、排水に伴う圧縮挙動の実験的研究を実施し、(3)さらに、現地の地温変動を測定して熱的環境の検討を行った。美唄湿原現地調査は、1997年6月下旬に重点を置いた。(1)の水収支研究では、1年前の同時期に比較して、0〜10cm程度地下水面積標高が低下していることがわかり、特に湿原周辺部において低下が大きかった。湿原内では、地表植生がミズゴケ主体である地点と笹主体である地点とで、透水量係数の違いは無視できるほど小さいことが分かった。(2)の排水に伴う泥炭の圧縮挙動では、一般の圧密圧縮とは異なり、試料からの脱水に連動する不飽和水分状態での圧縮挙動に著しい特徴が見られた。この圧縮挙動を解析するため、泥炭試料の体積を強制的に固定した水分特性曲線の測定値を必要とすることが分かり、室内実験方法を改良した。(3)の熱的環境では、中間泥炭の深さ方向での地温分布において地表面が高温となる大きな温度勾配の存在を見いだした。温度勾配はおよそ0.13℃/cmで、深さ20〜50cmの間の昼夜安定した値を示した。泥炭の熱伝導率が通常の土壌の熱伝導率より著しく小さいことが、際だった熱的特徴の原因であると考察された。
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