研究概要 |
今年度までに,幅5m×長さ10m,勾配10度の斜面で自然降雨による侵食実験を行い,形態の異なる5種類の作物(牧草,枝豆,とうもろこし,人参,裸地(対象区))を栽培し,被覆率,空間率と侵食量の関係について解析を行ってきた.土壌流亡量は裸地区が最も多く,次いで枝豆区,牧草,とうもろこし,にんじんの順序になったが,それぞれの成長段階において流出水量と土壌流亡量との間に明確な相関関係が見いだせなかった.この原因として,植生の生長に伴う形態変化による水分保持の影響や降雨パターンの変化が影響していると考えられた.そこで,今年度はさらに人工降雨装置を備えた斜面長5.0m,幅0.7m,勾配10°の斜面で自然降雨に近い2mm/h(0.33mm/10min)〜180mm/h(30mm/10min)の範囲の12の降雨パターンのもとで侵食実験を行った.各形態の降雨強度を変えて,(1)平面裸地(不耕地),(2)平面裸地(耕地),(3)裸地(畝有),(4)パセリ区(畝有)の作物生長段階別に様々な強度や持続期間の雨を降らして土壌流亡量および流出水量の観測を行い特に土壌流亡量の経時変化を細かく測定した.パセリの地上部は柔らかく高強度の降雨に対する抵抗力が低いため,この区でのデータ収集は十分ではないが,他区のデータは現在解析中である. 土壌表面,植生の水分保持状態,植生形態解析の観測のために新規に購入したスペクトロメータは検定が必要のため,現在室内ボッスクモデル土層を用い,砂,マサ土,粘質土の3種類の土層において表面水分量を変化させて反射波スペクトル強度を測定することにより機械の試用および検定を行っている段階である.
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