宮城県畜産試験場で生産したLWD三元交配豚二腹から去勢9頭、雌9頭の計18頭を供試した。豚はすべて単飼で飼育し、週一度体重測定をした。不断給餌区を対照区とし、体重に基づき不断給餌区の飼料摂取量の80%および60%を給与する区を設け、3つの区それぞれ去勢、雌を3頭ずつ配置し、体重が105kgに到達後、24時間絶食しと殺した。枝肉を24時間4℃で放冷後枝肉重量、皮下脂肪厚などの枝肉形質と肉色を測定した。肉質形質(pH、肉色、保水性、やわらかさ、脂肪含量、水分等)を測定するためのロースを採取した。その結果、制限区の日齢が約30日ずつ延びたが、日齢に応じて柔らかさの値が大きくなり硬さが増すことが明らか(P<0.05)になった。飼料の制限により制限区では脂肪含量が減少した。また、異なるロース部位(各胸椎)と殺後の冷蔵保存の影響では、冷蔵保存することで明らか(P<0.05)に柔らかさは増すが、加熱損失率が高まり水分のロスが多くなることが示された(P<0.05)。この傾向はロースの採取部位によって異なった。一方、肉質形質だけでなく、ロースおよび筋肉間脂肪と皮下脂肪の脂肪酸組成とコレステロール含量も測定した。前述したように、飼料制限により筋肉内脂肪含量は低下したが、コレステロール含量は増加した。脂肪酸組成では、飽和脂肪酸の割合が低下し、不飽和脂肪酸、とくにリノール酸が増加した。この傾向は、摂取エネルギーが不足したことにより、飽和脂肪酸が消費されて不飽和脂肪酸が残ったものと考えられ、軟脂豚の発生要因の一つとなっている。 以上のことから、総合的により高品質の豚肉生産を目指した場合、軟脂豚にならないように注意する必要があるが、不断給餌よりもある程度飼料のエネルギーを制限した方が肉中の不飽和脂肪酸が増加するため、栄養的に改質できると考えられた。
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