高品質の豚肉生産を目指して、LWD3元交雑種に給与する飼料内容や肥育期間を調整し、発育成績・枝肉成績等への影響を検討した。また、LWD交雑種改良のためのデュロック種系統造成を行った。これらの食肉の保水性・肉色・脂肪酸組成・一般成分・硬さ・呈味成分・食味等を測定した。(1)魚油添加試験では、枝肉生積はいずれの試験区とも差は認められなかった。高DHA魚油添加区のロース脂質には、DHAやEPAなどのn-3系高度不飽和脂肪酸の含有量が顕著に高まり、かつコレステロール値が低下したが、食味試験では有意差が認められなかった。(2)酒米粉添加区では、脂質性状、呈味成分および食味試験とも大きな差はなかった。(3)不断給餌区を対照区とし、不断給餌区の飼料摂取量の80%および60%を給与する区を設けた。制限区の105kg到達日齢がそれぞれ約30日および60日延びたが、日齢に応じてロースの硬さが増すことが明らかになった。飼料制限区ではロース脂肪含量が低下したが、コレステロール含量は増加した。ロース飽和脂肪酸の割合が低下し、不飽和脂肪酸とくにリノール酸が増加した。(4)未利用資源である緑茶粉末、海草粉末、パン粉を投与した。枝肉成績やロース全脂質、コレステロールおよびビタミンEの含量には差はなかった。緑茶投与のロース全脂質脂肪酸組成では対照区と比較して、パルミトオレイン酸は低下、ステアリン酸は増加し有意差が得られた。海草粉末、パン粉の給与では飼料要求率が低下し、ロース全脂質および中性脂質の多くの脂肪酸に有意差が認められた。(5)デュロック種第一世代の枝肉成績で優秀な成績を修めた中から第二世代を選抜した。枝肉成績では、去勢豚の背脂肪厚は第一世代よりも薄くなった。第二世代のロース全脂質含量は雌、去勢ともにほぼ同じ値となった。コレステロールは雌、去勢間でやや差があったが有意差は認められなかった。ロース全脂質の脂肪酸組成では、雌のオレイン酸がやや高い値を示した。
|