研究課題
本年度の研究成果は以下のように要約できる。1.ネオスポラ原虫の分類に成功し、診断キットを作製している本邦で発生した牛のネオスポラ性流産胎仔40頭(播谷担当)から以下の3株を分離することに成功し、診断キットの量産体制(大永担当)に入った。JPA1株(志村・山根担当):牛肺動脈内皮細胞へ分離し、以後はVero細胞で継代維持している。本株を用いて抗原プレートの大量作製を開始した。BT1株(梅村担当):ヌードマウスへ分離し、ヌードマウスとSCIDマウスで継代し、病原性について研究した。BT2株(梅村担当):ヌードマウスへ分離後、培養細胞(牛肺動脈内皮細胞-Vero細胞)へ移し、抗原プレートと簡便診断のためのELISAキットの試作を行っている。2.ヌードマウスにおけるネオスポラ症の研究(梅村担当)ヌードマウスでの感染実験により、感染原虫は末梢神経と脳脊髄液を経由して脳へ達すること、膵臓から消化管へ排出され、糞便を介して水平伝播する可能性があることを発見した。3.野外調査の続行(奥田、谷山)牛のネオスポラ性流産は平成8年度も全国的に多発傾向にあり、米国からの輸入牛にもネオスポラ感染例が多いことが分かった。感染牛舎で飼育されている犬の60%以上がネオスポラ陽性であることから、犬から牛への伝播の可能性も否定できない。本症発生牛舎へ出入りした可能性のある多くの動物種について抗体価を調査したが、未だ媒介動物を特定できていない。
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