1.ソルビトール6リン酸脱水素酵素(S6PDH)の抗体及びcDNAのプローブを用いたウエスタンブロッティング、ノーザンブロッティングにより、S6PDH活性の器官特異的な発現を調べたところ、ソース器官である葉で強く、シンク器官である根や果実では殆ど活性を検知出来なかった。そしてこの発現はS6PDHのタンパク質及びmRNAの発現を伴うことを明らかにした。さらに葉におけるS6PDH活性は果実の肥大生長が最も盛んな時に高く、成熟期に一度低下し、果実を収穫した後に再び上昇した。この季節変動もS6PDHのタンパク質及びmRNAの発現を伴うことを明らかにした。 2.カリフラワーモザイクウイルスの35Sプロモーターあるいはリブロース2リン酸カルボキシラーゼの小サブユニットのプロモーターにS6PDHのcDNAを結合し、さらに選抜マーカーとしてカナマイシン耐性遺伝子を結合したバイナリーベクターを構築し、それをアグロバクテリウムへ導入し、カンキツカルス細胞との共存培養によりS6PDHの形質転換体の獲得を試みたところ、数個体の形質転換体を得ることが出来た。これらの個体がS6PDHmRNA及びS6PDHタンパク質を発現するかについては現在のところ不明である。 3.ソルビトールの蓄積と密接な関係を持っているソルビトール脱水素酵素(NAD-SDH)を、DEAE-セルロース、アフィニティークロマト、ゲル濾過、FPLCなどのステップにより精製することが出来た。そしてN末端のアミノ酸配列から本酵素の遺伝子のプローブを作成することが出来た。
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