ソルビトール-6ーリン酸脱水素酵素(S6PDH)遺伝子の導入により、ソルビトールを生産するカンキツの作出を目的とした。S6PDH遺伝子の発現 : 器官によるS6PDHの発現の特性を検討したところ、本活性は子葉及び本葉で強く、根や胚軸では余り検知されなかった。モモ新梢での発現の葉位別変動を調べたところ、未展開の葉ではS6PDH活性はほとんど検知されず、葉が生長するに伴って活性は増大した。この活性の増大はS6PDHタンパク質及びmRNAの変動とも一致した。季節によるS6PDHの発現の変動を調べたところ、活性の増減はS6PDHタンパク質及びmRNAの増減とも一致し、成熟前期での高い活性は果実への転流糖、収穫後での高い活性は樹体へのソルビトール供給のためと考えられた。S6PDHcDNAのキメラ遺伝子の作成:SAoriベクターのクローニングサイトにCaMV35Sプロモーター、S6PDHコーディング配列、Nosタ-ミネーターを挿入し、pSA-S6PDHを昨出した、一方市販のベクターからpBI121-S6PDHを昨出した。2種のキメラ遺伝子ベクターをトリペアレント法によってアグロバクテリウムに導入し、PCRによりS6PDHコーディング領域の挿入を確認した。キメラ遺伝子の導入と形質転換カンキツの昨出:カルスにアグロバクテリウムとの共存培養によりS6PDHキメラ遺伝子を導入し、カナマイシンで選抜したところ、スイ-トオレンジ系から胚形成するコロニーを得、再分化個体の葉よりDNAを抽出し、PCR検定によって、S6PDH遺伝子のカンキツへの導入が確認できた。形質転換体でのS6PDHの発現:葉より全RNAを抽出し、S6PDHの断片をプローブとしたノーザンブロットを行ったところ、形質転換体においてハイブリダイゼーションが認められ、mRNAが発現していることが確認できた。
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