研究概要 |
木曽川水系にある愛知県下の3浄水場(無薬注処理法を採用している1浄水場と石灰による薬注処理を採用している2浄水場)から排水する水処理廃棄物である浄水(処理)ケーキを有用な農業資材や環境保全資材として再資源化する方策について研究した。とくに本試験では非農耕地における雑草発生を抑制する資材としての開発・利用とその資材の大気汚染酸性ガス(No_X,SO_X)の除去機能について検討した.その結果以下の成果を得た. 1.粒径を約3mmに造粒・熱風乾燥させた浄水ケーキ(抑草資材)は高いはっ水性を誘起し,それを土壌表面に敷きつめた場合,上方からの供給水(降雨水)の保水能が弱く,また,下方からの水湿潤能を欠くため,飛来雑草種子からの出芽や土壌表層からの1年生雑草の発生が顕著に抑制されることを認めた. 2.上記の抑草機能は抑草資材にアレロパシー活性をもつ植物材料粉末を混練すること,あるいはそれを抑草資材の下層に撒くことによって高まることを認めた.また,それらの植物材料としては,剪定モリシマアカシア葉,モミガラおよびコーヒー粕等の粉末が有用であることを見いだした. 3.宿根性雑草の出芽は上記資材の処理のみで完全に抑制することが不可能であるが,撒布した抑草資材下に不織布等を敷くことによって効果的に抑えることができること,さらに,生分解性シートの利用が環境保全上有益であることを認めた. 4.上記の抑草資材には大気汚染酸性ガス(NO_X,SO_X)を吸収除去する機能をもち,その機能は無薬注ケーキよりも薬注ケーキを材料として製造したものの方が高かった. これらの一連の試験から,無薬注浄水ケーキは農業用培土として利用し,一方アルカリ度が高いために農業利用が困難な薬注浄水ケーキは非農耕地の抑草資材として再資源化することが環境保全上有益であると考えられた.
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