研究概要 |
新技術浄化槽開発の基礎研究:多段土壌層法により、家庭合併排水の高度処理を行なうための基礎的検討を行なった。小型アクリル水槽による基礎研究では、排水中に酸素が含まれORPが高すぎるとBOD処理能は向上するが、窒素及びリンの除去能は低下することを見出した。多段層におけるゼオライト層はBOD,N,P除去能の向上に有効であること、土壌種としては黒ボク土壌や赤色土壌に比べ、マサ土壌の浄化性能は劣ることを見い出した。 新技術浄化槽開発の実証試験:未処理状態の単独浄化槽排水と生活雑排水を合わせて高度処理する多段土壌層を松江市と八女市の一般家庭に設置して長期実証試験を継続した。松江市の装置では満7年目の使用でもBOD.N,Pの処理性能は高く維持されていた。とりわけ、単独浄化槽と多段土壌層への通気条件を適切に設定すれば汚水中のBOD成分が脱窒に利用できる可能性が見い出されたことは重要である。処理性能のさらなる高度化とコスト削減の視点から八女市に設置した新装置では、粉末木炭層がBOD除去能の向上、オガライトの添加がリン酸除去能の向上に有効であることを示した。 畜産排水の多段土壌処理:BOD1000ppm,T-N300ppm,T-P50ppm程度であれば多段土壌層法により、畜産排水が高度処理できることを見い出した。 多段土壌層法製ゼオライトの土壌改良効果:八女市の一般家庭排水を4-5年処理して得られたゼオライトを回収して肥沃度成分富化の程度を調査した。その結果、アンモニア、リン、鉄、カルシウム、カリ成分が顕著に富化していた。25t/ha程度の混合で、ポット及び圃場試験により老朽化水田土壌の稲作改良効果を検討し、有為な効果を認めた。
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