研究概要 |
1、多段土壌層法における粉末木炭層、ゼオライト層、土壌種の役割を検討した。ゼオライトは窒素除去に必要であるが、リン酸除去に関してはレキ等と同等であった。土壌種の中では黒ボクが優れ、赤色土、マサ土の順に処理性能が低下した。粉末木炭層はBOD除去能と硝化能の向上に有効であった。 2、高濃度養豚排水処理への多段土壌層法の適用は、BOD及びリン除去能に関しては優れたいた。しかし、全窒素濃度が500ppm以上では処理性能は安定せず、100-200ppm程度に希釈する必要があった。排水をこのレベルまで希釈すれば窒素の除去性能も、通気条件を適切に設定すれば80%以上は可能であった。 3、単独浄化槽排水と雑排水を合併して、高度浄化できる新技術浄化槽の長期性能試験を継続している。8年目の装置でもBOD15ppm以下,T-N15ppm以下,T-P2ppm以下の性能を満足することがわかった。今回明らかになったことは、通気法の簡便化である。24時間通気のON-OFF、例えば、2週間通気-4週間無通気、4週間通気-2週間無通気等、の組み合わせで、BOD,N,P除去のための最適通気条件を、季節や汚水の質と量に応じて検討すれば良いことがわかった。 4、発展途上国で適応可能で、かつ高性能の生物系排水処理装置として、多段土壌層法を検討した。大学構内のレストラン及び学生寮のトイレの合併排水の実証的浄化装置をバンコック市内のカセツアート大学構内に設置して実証試験を行った。その結果、この地域で通常使われている、伝統的な土壌浸透法に比べ、BOD,N,P除去性能が大幅に向上することがわかった。ここでも通気条件の設定が重要であった。 5、多段土壌層法による汚水処理の結果、生産されるリン酸鉄アンモニウムゼオライトの土壌改良効果を、水稲以外の野菜栽培地の地力増進効果として検討した。
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